大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1959 判決

主 文

本件再上告を棄却する。

理 由

弁護人松下幸徳同原秀男再上告趣意について。

しかし、上告すぺき裁判所は、上告を為すぺき権利発生の時(すなわち飛躍上告

については、第一審判決のあつた時、普通の上告については、第二審判決のあつた

時)を標準として決すぺく、所論のごとく公訴提起の時を標準として論ずぺきでは

ない。従つて、本件のように、公訴が昭和二二年四月一一日八王子区裁判所に提起

された当時における上告審は大審院であつたのみで、同年五月一〇日第一審たる東

京地方裁判所八王子支部の判決当時においては大審院が廃止されて存在しない場合

に、単に公訴提起当時における上告裁判所が大審院であつたという事実のみを前提

として上告裁判所を論ずる所論は、既にその前提において失当たるを免れない。そ

して、憲法は、その第八一条所定の場合を除くの外審級制度並びに裁判権について

は、法律の定めるところに一任したもので、旧憲法及び裁判所構成法廃止せられ、

新憲法及び裁判所法が新に実施せられるに際し、廃止となつた各裁判所において従

来受理していた一群の訴訟事件を処理するに当つて、法律である裁判所法施行法に

基く、裁判所法施行令第三条の地方裁判所裁判権並びに事件処理に関する規定は、

憲法第一三条、第一四条、第三二条、第七六条第二項のいずれの規定にも反するも

のでないことは、既に当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところであつて(昭和二

三年(れ)第一六七号同年七月一九日大法廷事件判決参照)、原上告判決の説示も

これと同一趣旨であることその説示に照し明らかであるから、本論旨は、採ること

ができない。

よつて旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

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検察官 宮本増蔵関与

昭和二四年四月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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